Now Loading...
とじる
とじる
iQUICK HELP
とじる

当院の胃がん治療の現状

1.内科的アプローチ

当院では2000年4月から2016年3月までの16年間に、胃がん内視鏡治療件数 796症例、1027病変で、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection, ESD)770病変、内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection, EMR)250例を行っています。早期胃がん内視鏡治療の標準手技となっているESDは、2004年から導入しています。ESDはEMRと比較して確実に病変を切除することが可能(一括切除率はESDで92.5%、EMRで31.2%)で治療の根治性が高く、ESD導入前までは年間50病変前後でしたが、導入後は年間70病変前後切除しています。

早期胃がんを内視鏡切除しても、ほかの部位から新たに別のがんが発生することが約10%程度であります(異時性異所性再発)。ピロリ菌を治療(除菌)することで、異所性異時性再発が約1/3に減らせることが、本邦から報告されています。
 
近年、問題になっているのが、除菌治療することで発見困難な胃がん(がんと正常な部分(非がん)の境界がわからない)が出てきており、内視鏡検査を行う医師にとって悩みのひとつとなっています。NBI(Narrow Band Image)などの内視鏡画像診断の進歩で、以前よりもがんと非がん部の境界が診断できるようになっていますが、これらを駆使してもわからないこともあり、最終的には周辺を何カ所も生検して、治療範囲を決定することもあります。

2.外科的アプローチ

当院外科では、胃がん治療ガイドラインに沿って手術術式を決定しております。平成20年4月より28年3月までの8年間で、胃がん手術症例は694症例でした。先にも述べましたが、早期胃がんには積極的に腹腔鏡下手術を取り入れており、腹腔鏡下手術は、176例(腹腔鏡補助下胃全摘9例、腹腔鏡補助下幽門側胃切除131例、腹腔鏡補助下噴門側胃切除14例、腹腔鏡補助下幽門保存胃切除22例)でした。最近では、機能温存も重視しており、胃体部の早期胃がんの場合、胃機能温存術式である幽門保存胃切除も積極的に行っております。また、術後の胆石症発生予防や腸管運動の温存を目指した、神経温存術式に関しても積極的に取り入れております。

進行胃がんに対しては根治性を重視して、開腹にて標準的リンパ節郭清D2を伴う胃切除術を標準手術としております。根治手術を行っても、術後の再発や転移の可能性がある症例には、術後補助化学療法を行います。これまでの臨床試験の結果より、TS-1内服1年間を基本にしておりますが、最近では、術後再発の可能性が非常に高い症例(ステージⅢB、ⅢC)に対しては、オキサリプラチンの併用療法も施行しております。しかし、胃切除後の抗がん剤治療は、決して楽なものではありません。根治手術が行われても、胃が小さくなったために食事摂取が困難となり、術後補助化学療法が行えない患者様をこれまでも多く経験しており、この問題を解消するために術前化学療法も積極的に取り入れております。スキルス胃がんや巨大な腫瘍で多発性リンパ節転移を伴う症例に適応がありますが、術前に化学療法を行うことにより、進行度を下げて安全に手術を行うことができる場合があります。同様の治療で、本来であれば切除不能であった胃がんが、腫瘍縮小により切除可能となるような症例も経験しております。

胃切除後の障害としては、胃が小さくなったために一度にたくさんの食事ができなくなり、低栄養が進行することがあります。そのため、術後早期よりNSTチームの介入により栄養補助食品やサポート飲料などを積極的に取り入れて栄養管理を行っております。

残念ながら初診時より、がんが進行し手術できない状態であったり、術後に再発や転移を認めたりしても、当院では集学的治療を行いながら、症状緩和も同時進行し、患者さんのQOL(Quality of Life)を重視して最後まで責任を持って治療致しますので、ご安心ください。

 

 

SITEMAP